ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

て介入を求める世論が形成されたことによって、政府に介入を求める圧力がかかったという指摘と(国境なき医師団、前掲書、177ページ、川端・持田、前掲書、66ページ、Lorenz, op.cit., p.122)、その祭ブッシュ大統領(当時)が、自らの任期が残り数週間であり、ソマリア介入の結果はいずれにしても後任のクリントン大統領の問題になると見て、自らのPRや歴史上の地位向上のために、ソマリアが「安上がり」だろうと判断して介入を決めたという指摘がある(フォーク、前掲論文、186ページ、及びLewis and Mayall, op.cit., p.110参照)。実際ブッシュ大統領が1992年12月にソマリアへの人道的介入を正式に決定する過程では、PKO拡大に反対する連邦議会(本文13ページ参照)、長期化と深入りを懸念して介入に反対する国防省と、介入に積極的な国務省との間で意見の分裂があったが、大統領、議会、国防省、国務省ともソマリアへの介入は、人道的支援活動の保護のために短期間に限定するという点では一致していた〔大泉氏は、「目的と期間を限定しての介入こそが、米国国益に合致していたのである」と指摘している(大泉、前掲「ソマリア内戦に対する国際連合の介入-伝統的PKOと多国籍軍-」、87ページ)〕。(58)尤も、紛争への介入が加盟国の政治的意思に左右されることについては、例えば五大国の拒否権行使によって冷戦期にも示されているといえる。(59)香西、前掲書、3ページ。(60)PKOの原則に関しては、研究者によってその内容は異なる。例えば、筆者が挙げた3つの原則は、ガリ事務聡長が提出した「平和への課題:追捕」においても「特に重要な原則」として挙げられ(Boutros-Ghali,“Supplement”, para.33、訳は国連広報センター、“課題”、12ページ)、国連のPKO特別委員会が1997年6月に提出した報告書においても「PKOの成功に不可欠」な原則として挙げられている(A/52/209,para.41)。一方、川端・持田両氏は、これら3つの他に、停戦の成立、安保理常任理事国以外からのPKO要員供出を挙げ(川端・持田、前掲書、6ページ)、神余氏は、PKO原則を「1停戦合意の存在、2中立・不介入、3非強制、4自衛の場合のみの792