ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

(47)ルペシンゲ氏は、「内戦においては関係者の身元の確認も接触も一段と難しくなっている」ことや、「ゲリラグループが広範囲に勢力を伸ばし、しかも外界との接触手段を持たない場合もしばしばある」ことを指摘している(クマール・ルペシンゲ、辰巳雅世子訳『予防外交-「紛争の時代」の新たなる指針-』ダイヤモンド社、1998年、22ページ)。(48)例えば、1)冷戦の下で対立が顕在化しなかったこと2)東西陣営の軍事戦略から重要な国家・地域には多大な援助がなされていたのに、冷戦が終結してその援助が終了・削減されたために、その国家・地域が不安定となり、対立の原因となること3)冷戦期に大量に持ち込まれた武器(特に銃などの小火器)がそのままにされていたり、他国で不要となって流入したために、内戦が長引き、武装解除が困難となることなどがある。(49)冷戦期に限らず、2つの大戦においても、大量殺戮などの非人道的行為は確認されている。しかし、その規模、頻度、また方式などにおいて、冷戦終結後の内戦における非人道性が指摘されている。非人道的行為の具体例としては、民間人使用地への対人地雷の敷設や民族浄化(ethnic cleansing)、ジェノサイド、集団レイプや少年・少女兵の使用、子供を対象とした武力攻撃などがある。(50)エヴァンス氏は、「救援物資運搬の安全確立のために軍を使用するなど、限定的で短期間の目標の下では、未解決の内戦という状況下での介入は早期に成功のうちに終了する傾向にあるとはいえない」と指摘している。また、エヴァンス氏は、「持続的安定や社会の再建・再構築のための活動が可能となり、しかもそれらが徹底されているような状況が確立するまで駐留できる、という合意がなされるまでは、国連軍(筆者注:国連による軍事行動の意)は導入されるべきではない」とも指摘している(Evans, op.cit., p.154)。(51)任務の明確化に関しては、UNOSOMⅡの適切な役割を巡って公となった、部隊提供国と国連との間の論争が、強制行動のためには明確な任務の重要性に光を当てた、790