ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第16回最優秀賞を用いる正当性があるだろうかという疑問が浮かぶからである。国連の内戦介入とPKOPKOは、国連の紛争への対応が多様化した一例とみることができる。そもそもPKOは、国連憲章が想定していた安全保障体制が冷戦によって機能しなかったために考案された活動で、「国連が関係国の要請や同意の下に、国連の権威を象徴する一定の軍事組織を現地に駐留せしめ、これらの軍事機関による第三者的・中立的役割を通じて、地域的紛争や事態を平和的に収拾することを目的とした国連活動」であった(59)。そして、いわゆる「伝統的PKO」においては、ほとんどの活動は、紛争当事者の同意、活動の公正性、自衛以外の武力不行使といった原則に基づいていた(60)。しかし、冷戦終結後には、カンボジアの事例のような社会再建など包括的な活動や、ソマリアや旧ユーゴの事例のように、平和強制機能を課された活動など多様化している。このうち、主に前者は成功し後者は失敗したのは、先のPKO原則が遵守されたか否かに関わっているという評価は(61)、PKOが原則に基づいて、平和維持や、加えて今日では紛争後の平和構築として機能することの重要性を示している。特に、PKOと平和強制とを混同してはならないという指摘は、ソマリアをはじめとする活動からの教訓であるといえる(62)。また、先に、内戦の平和的解決には長期的対策が必要であること、しかし一方で、それぞれの任務は目的、期間を明確にするべきだと述べた。その中では、PKOはそれ自体が長期化されるより、むしろPKOを内戦の平和的解決の過程の一手段として捉える視点を重視することが必要と考えられる(63)。内戦介入における国連と加盟国との関係冷戦終結後、国連の安保理では拒否権の行使がほとんどなくなり、冷戦期と比べると大国間の共同行動が行いやすくなったといえる。そのことで、内戦をはじめとする紛争への対応が東西対立の文脈によって妨げられるという状況は見られなくなった。しかし、現在において国連と加盟国との関係に関する問題点は、少なくとも以下の3点あると考えられる。まず第1点として、国連においてアメリカ一国が占める割合である。ここにおいてア777