ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

い。その上、国連によるソマリア介入の失敗を期に、PKOが縮小されるようになったのである(3)。つまり、PKOに着目した場合、現在のPKOに大きく影響を及ぼしていると考えられる国連のソマリア介入を検討する意義が存在する。今日における内戦と国連及びPKOとの関係について何らかの教訓を得るため、筆者は本稿のテーマについて考察することには以上2つの意義があると認識している。筆者は、ソマリア内戦と国連の介入に関する研究は、これまで以下の6つの視点から検討がなされてきたと考える。まず、国際法の視点である。この中では、主にソマリア内戦に関する国連による一連の対応、特にUNOSOMⅡが、国際法や国連憲章に照らしてどのような位置づけにあるのかという議論がある(4)。第2の視点は、国際政治の視点である。主に加盟国の意思の相互作用によって意思決定がなされる国連という場において、アメリカをはじめとする各加盟国がソマリア内戦に関してどのような意図をもとにいかなる政策を取ったのか(5)、また、国連や各国が「人道的介入」を行うことがどのような意味を持つのか(6)という議論である。第3の視点は、国際機構論の視点である。国連という機構がどのような機能を持ち(それは特に、国連憲章や、国連が編み出したといえるPKOに関する考察である)、ソマリア内戦に関わることが、国連にとってどのような意味を持つかという議論である(7)。第4の視点は、地域研究の視点である。この視点からの研究では、特に、ソマリアが内戦に至るまでの歴史的背景や、ソマリアの特徴、また、国連が内戦に介入したことによるソマリアへのインパクトがいかなるものであったかという議論である(8)。これら4つは、大きく分けると学術的視座に基づいているといえる。それに対し、以下の2つは、むしろ国連及びそのソマリア介入の当事者からの視点である。一方は、国連の立揚に着目した、主に国連関係者による考察であり、国連の前例や特質と比較したソマリア介入に関する考察が見られる(9)。もう一方は非政府組織(Non-governmentalOrganizations:以下NGO)の視点である。ソマリア内戦において人道的支援括動の一端を担っていたNGOは自らの活動について考察し、また「人道的介入」として国連を中心として行われた活動が、人道的支援活動を行う立場からみてどのような意味を持ってい764