ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第16回最優秀賞「内戦と国連-ソマリア内戦と国連平和維持活動を中心に-」井上実佳はじめにソマリアの内戦が本格化し国際連合(以下国連)が介入し始めてから9年、またその国連がソマリアへの積極的介入を事実上終了してから4年半以上が経過している。国連のソマリア介入は、冷戦終結後の国連に対する期待感と内戦の多発という状況下、様々な議論を呼び起こした。その中でも、ソマリアに派遣された国連平和維持活動(UN PeacekeepingOperations:以下PKO)である国連第二次ソマリア活動(UN Operation inSomaliaⅡ:以下UNOSOMⅡ)は、その前に派遣された国連第一次ソマリア活動(UNOperation in Somalia I:以下UNOSOMⅠ)、及び多国籍軍である統一タスクフォース(Unified Task Force:以下UNITAF)と共に、主に以下の論点を提示したといえる。それは、国連が内戦に介入するという問題や、その際にPKOをいかなる形で実施するかという問題、いわゆる「人道的介入」という概念の問題、そして紛争解決における国連と加盟国との関係の問題である。筆者が本稿においてソマリア内戦への国連の介入を再検討することにした契機はまさにこれらの論点を認識したことにある。同時に、これらは依然として内戦が発生している今日、国連が内戦に介入しようとする際しばしば議論される論点である。従って、国連の内戦への介入全般について考える上で、ソマリアのケースは冷戦終結後の「特別な」状況下で生じたケースとして除外されることなく検討が重ねられる意義があると考えられる。また、1990年代初頭にみられたPKOの機能拡大の中でも、平和強制(peaceenforcement)(1)の任務が実際に課されたのがソマリアであった(2)。しかし、活動は目的達成前の撤退という形で終了し、ソマリアでは内戦の根本的な平和的解決が見られていな763