ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第15回佳作3.4.3.軍縮と安全保障のジレンマ平和維持活動は紛争の勃発に対する対症療法であるが、より包括的で究極的な安全保障制度の確立も視野に入れておかなければならない。人類の究極的安全保障は国家の所有する膨大な軍事力の削減─軍縮によってのみ達成される。これには安全保障のジレンマが付きまとう。安全保障のジレンマとは「いずれの当事者もが、敵の不安定を極大化することで自らの安全を極大化出来るとの「均衡」の信仰に依拠する」(17)ことである。国連がジレンマを含まない新たな安全保障の概念を見つけていくために何ができるか、何をすべきかは今のところわからない。しかしいずれにせよ国連が新たに提供すべき安全保障体制は、経済制裁でも集団安全保障でもない。経済制裁はグローバリゼーションの流れを受けて有効性を失いつつある。物資の国際運搬が容易になったことから制裁破りが横行している。現行の経済制裁による安全保障制度は見直されるべきである。憲章7章による集団安全保障制度にも大きな問題を抱えている。結局は集団安全保障とは一国の違法な武力行使に対して多数の他国の武力行使を容認するものであって、人類の安全保障の理念からは程遠い。今後集団安全保障を超える制度の確立に向けて研究していく必要がある。4.まとめグローバリゼーションは様々な要因が複雑に組み合わさって引き起こされる現象であり、望ましい自体も望ましくない自体も引き起こす。本論文では、グローバリゼーションの具体例として経済活動の地球規模への拡大、情報技術革命、地球規模問題群の政治化、ヒトの移動の地球規模化、主権国家の相対化を挙げた。これらのグローバリゼーションは幾つかの共通の特徴を持ち、問題領域が相互に依存していること、究極までグローバリゼーションが進むことはなく、必ず反作用を伴うものであること、西洋ないしはアメリカ的価値の普及でもあること、それゆえ地球規模での統合が進む一方で反動として分化も進むことを指摘した。753