ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第15回佳作所の設立への動きは、旧ユーゴスラビア、ルワンダという二つの臨時戦犯法廷が設けられた90年代半ばから活発化した。冷戦の終焉により国際犯罪に対する相対的な注目が高まったことに加え、国際的なメディアの発達により悲惨な映像が茶の間に届けられるようになったからだといえよう。今回採択された条約案によると(14)、ジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪、戦略、の四つの犯罪について、国内の公的地位の如何にかかわらず、18才以上のすべての自然人に対して裁判所の管轄権が及ぶことになっている。同条約13条は検察方法を3つ示しており、その中には検察官個人が「自分の意思で」捜査を開始できることも含まれている。もっとも、予審(Pre-Trial Chamber)制があったり、国内裁判に国際裁判が優先出来ないという「補完性の原則」が含まれているため、国家の枠組みを超えて世界法廷的な裁判が行われるわけではない。しかし、国際刑事裁判制度が発展し、国家の枠組みを超えて国際刑事犯の責任追及の可能性が高まることは確かである。こうすることで国際犯罪が抑止され、人類全体としての権利が擁護される(15)。国際刑事裁判所と国連の関係は条約の発効後に公式な関係を設定するとしてあり、国際刑事裁判所の成否は今後の国連(特に安保理)がどのようにこの制度を位置付け、活用していくかにかかっている。国連は、広い意味での安全保障の枠組みを考え、その中に国際刑事裁判所の制度を組み込んでいかなければならない。3.4.2.平和維持活動と開発の役割途上国内の地域紛争が地球規模問題や貧困の問題を引き起こし、貧困によって有限な資源をめぐって更なる地域紛争が起きるという悪循環が起こっている。まだ軍拡が途上国の経済を圧迫していることも見落とすことができない。それゆえ開発も視野に入れた地域紛争に対する地球規模での安全保障体制を確立していく必要性がある。特に地域紛争が世界規模の紛争に飛び火しないようにと発案された国連平和維持活動は今後大きな役割を担うことになるだろう。平和維持活動はソマリアや旧ユーゴスラビアで失敗し、その限界を露呈したといわれて751