ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

野に関する科学者、研究者集団が「認識共同体」として形成され、科学的知見が中立的な政治力としても働くこと(13)などが挙げられる。ところが、レジーム形成による地球規模問題群への対応は、国連の地道な活動にもかかわらず、すべてのレジームが必ずしも問題解決に成功しているわけではない。これには3つの原因が考えられるだろう。まず、問題意識が世界的に高まってレジームは形戒されるが、形成後は一部の問題意識の強い人々がNGOの形で問題解決に積極的である一方、その他の人々の関心は薄れ、いつしかNGOや政府・自治体の一部局内で取り上げられるに過ぎなくなるという点がある。次に地球規模問題が数多くある中で、レジームが乱立する一方、問題解決のために使用しうる資源が有限であり、個々の問題の解決に向けて十分な資源や資金が集まらないことがある。まだ、地球規模問題は相互にリンクしており、自己完結的な性格を持つレジームでは対応しきれなくなっているということも大きな原因である。今後は一通り出揃った国際的な規範を限られた資源の中でどのように追求していくかが重要になってくるだろう。相互にリンクした問題に対して包括的に取り組む場として国連総会や経社理の重要性は高まる。今のところ問題同士の相互関係を調整することの重要性があまり認識されていないが、有限の資源の中ですべての地球規模問題群に対応することが必要であることは間違いない。こうした点に留意すると、地球規模問題群に対する国連が果たすべき役割としては、1.問題提起のフォーラムの場として、2.解決策について、各国の国益に束縛されずに科学的知見を政治的に公開、提言出来る認識共同体の活躍の場として(情報機能)、3.新たなレジームの形成に向けた規範の創設や基準の設定を行う場として、4.個々の問題を相互にリンクした問題群の中で位置付け、具体的な実施に関する優先順位をきめる政治機開として、5.結果についての評価を取りまとめ評価する機関(規範実施(適用)機能)として、6.市民の問題意識を高めるための効率良い宣伝機関として、の6つが考えられる。そして、特に4、6の機能が重視されてくるだろう。国連は限られた資源しか利用出来ないことから、(NGOも含めた)他の機開でもできる748