ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第15回佳作であろう(9)。その一方、開発問題や治安の不安定化に対して国連は様々な対策をとりうる。これについては節を改め後ほど触れることにする。3.2.地球規模問題群への対応国連を数多くある国際機構の類型のなかに位置付けると、唯一の普遍的(ほぼ全世界を加盟国とする)かつ一般的(扱う問題が一つに限らず多様である)国際機構ということになる。すなわち理論的には、国連は地球規模問題群を包括的に扱いうる唯一の国際機関であるといえよう(10)。これまでも国連は地球規模問題群に対しては積極的に取り組んできたし、それは高く評価されている。地球環境問題では72年の人間環境会議開催や、国連環境計画の設置、92年の環境開発会議開催とアジェンダ21の提示といったように総論的な活動も比較的多く行われている。具体的な問題では、(オゾン層保護のための)ウィーン条約の締結、絶滅に瀕した種の国際取引に関する条約、最近では気候変動粋組み条約や、生物多様性条約の署名が行われだ。一方人口問題については、経済社会理事会の機能委員会の一つに人口委員会が設置されたほか、69年には人口基金が設置され、そして1994年の国際人口開発会議では、人口と持続的成長及び持続可能な開発を主題に議論がなされた。食糧問題では、ローマでの世界食糧会議(74年)の開催とその成果である世界食糧理事会の設置、食糧事清に影響する問題を定期的に検討してきた。実際の救援活動では、食糧計画(FAO)が主となって緊急食糧援助を行っている。このように国連では個別の具体的案件に対して、専門機関が設置されたり、イッシュー毎に多国間条約が締結されてきた。こうした個々の問題領域に対して原理、原則、ルール、意思決定の手続きが整備され、各国その他のアクターの期待が収斂していくものを、クラズナー(Stephen Krasner)は国際レジームとよんだ(11)。地球規模問題群に対する国連の対応は国際レジームの創設と整備であるといえよう。国際レジームの利点としては、明示的黙示的ルールにより比較的長期にわたって各国の行動が統制されること。その統制の仕方があまり強制的ではないこと(国際協力は各国の自発意思による(12))。さらに、当該分747