ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第15回佳作さて、以上のような楽観的な見方に対して、経済的グローバリゼーションの二つの負の側面が指摘される。世界の二重構造化(南北問題)─グローバリゼーションは国際的な集権化の流れに乗り遅れた地域(アフリカなど)を辺境化し(マージナライゼーション)(5)、それを構造化する。技術やノウ・ハウの所有に起因して、国内・国家間の所得格差が増大し、それに由来して政治的な支配関係が強化すると考えられるのである。コー(Martin Khor)は「グローバリゼーションとは第三世界において我々が数世紀にわたり植民地化と呼んできたものに他ならない」(6)と指摘している。経済的敗者と地球規模の社会不安─自由競争による競争の激化は、必然的に競争に参加出来ない者、競争に負けた者を生む。これは失業や犯罪の増加という深刻な社会問題を引き起こす。先進国においても所得の格差は増大しつつあるのが現状である。加えて、短期資本の流動性は極めて高く、気まぐれであるため、東南アジアやロシアで起きた経済危機を引き起こす。そして一旦起きた経済危機は高い相互依存性により世界に飛び火し拡大する。2.3.情報技術革命としてのグローバリゼーション二つめのグローバリゼーションの側面としては、情報技術の発展による情報媒体のグローバル化が挙げられる。新聞、テレビ、通信に加え、WWW(通称「インターネット」)が発達し、世界中から情報が発信され、世界中の誰もがその受信者となりうる。この「情報技術革命」は地球規模で政治の方向性を構想する上での土台を提供しつつある。(現在では未だ発展途上ではあるが)近い将来には「国際世論」が形成され、国際政治はその力によってある程度影響を受け、国際的にとられる政策はその「国際世論」によって評価されるようになるだろう。しかし、ここでも南北格差が大きく問題となる。例えば、情報技術革命に対応するインフラ整備の面での格差が挙げられる。1997年7月現在、インターネットに接続しているホスト・コンピューターの数は2000万近くある。しかし、世界各国の中で、こうしたホ743