ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第15回佳作で定義した意味での)グローバルになるプロセス。Ⅲ、(1で挙げた特殊な形態やケースの総体によって構成される)歴史的変化。」(1)と定義している。ところで、この定義は網羅的ではあるが、今後の議論をする上では操作性に欠ける。「グローバリゼーション」という語が様々な局面で用いられており、その共約可能な部分を取り出すと、どうしても抽象的になってしまうのである。ここでは、グローバリゼーションの具体的な諸側面について議論を進めてしまう前に、グローバリゼーションという概念が内包する四つの全体的な傾向を指摘したい。問題領域の相互依存ひとつめの傾向は問題領域間に相互依存状態が見られることである。以下でみるようにグローバリゼーションの原動力を特定することは困難である。というのも、我々が一般に「グローバリゼーション」と呼ぶところの現象は、多くの要因が相互に影響しあう中で引き起こされているからである。グローバリゼーションによって引き0 0 0 0起こされる問題点も、それ故に、相互に依存している。例えば、環境問題と人口問題は複雑に絡み合っているし、安全保障問題が開発問題と密接につながりあっている。未完成のグローバリゼーション二つめの傾向は、グローバリゼーションが究極まで進むことも予想しにくいということである。確かに現在は人々が地球規模で移動し、コミュニケーション能力も増大する傾向にあるが、この傾向が増大するからといって人々が根無し草のように住居や「故郷」を持たないでいられるとは考えにくい。コミュニケーションについても世界共通語が浸透するとも考えにくい。この点に関して山本吉宣は文化や言語が「領土性」によって支配されている現状に注目し、情報やカネ、環境問題といった「超領土性」を多く持つ分野と区別している(2)。近未来的には文化や言語の分野に「超領土性」が浸透する見込みはない。そこで、グローバルな分野とローカルな分野との乖離という問題が出てくる。アメリカ化・西洋化三つ目の傾向は、グローバリゼーションの中に、西洋の価値ないしはアメリカの価値の普遍化という側面が含まれているということである。グローバリゼーションがアメリカの自由主義経済の拡大や、同じくアメリカ製のコンピューターによる情741