ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

記の5ヶ国を運営委員会における最低限の兵器輸入不可能国とし、それ以外の懸念対象に対してはブロックごとに別枠の規制を設け、その輸入量の上限についてその都度同委員会で多数決による採決を取ることが望ましい。上記の5ヶ国がこれからの紛争勃発の可能性を高める可能性が高いことを考えれば、他の参加国もそれを踏まえて委員会を支持し、その政策に協力すべきである。これらの懸念国が輸出入体制の中に正規に参加できるのは明確な信頼醸成措置が提示された後とするのが妥当である。こうした懸念国に対する規制を最低限にとどめておくべき根拠として、ある国家を急激に孤立化させ追い詰めることがグローバルな軍事力の安定には必ずしもつながって来なかったことが特に米国の政策に見られることがあげられる。実際、米国から多量の武器援助を受けていたパキスタンはアフガン侵攻が決着すると手のひらを返したように冷たく扱われ、それまで黙認されていた核開発に対しても、それをやめると証明しない限り援助は一切出さないというプレスラー条約をつきつけられるに至った。さらにインドという圧倒的な国力をもつ国との交戦にことごとく敗れ、国際社会からも救済されなかったパキスタンが核実験に踏み切ったのは記憶に新しい。懸念国に含まれる北朝鮮に関しても、NPT脱退宣言に伴い結果的に多くの譲歩をせざるを得ず、米国は国際的封じ込めに成功したとは言えないだろう。グローバルで実行能力を持つレジームを生成するにあたっては、その強力さゆえに懸念国に与える脅威は無視して考えることができず、厳格な姿勢を持つ一方で彼国を追い詰めないように妥協を図るバランス感覚がより重要となってくる。6現実化に際しての諸問題第5章ではこれまでのレジームや武器輸出入関係を検討した国連主体のレジームを考えてみたが、おそらく今後実際にどのような通常兵器規制体制を考えるにしても、これまでに述べてきた問題や着眼点はそう変わらないものであろうと推察する。ここでは、5章で述べた持論についてこれまでに具体策を見つけられなかった問題点を簡単にあげておく。720