ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第15回優秀賞図る。またそのブロックを越えた武器の移動を制限することによって米国など第三国の武器援助によるその地域の軍事バランスに刺激を与えることを避けること、当ブロック内での武器調達を相対化させることによって迂回搬入など近隣諸国の共犯によって行われている武器の密輸に牽制力をもたせることにある。問題は1;そのブロック内での武器の内訳合意について難航が予想されることと、2;地域の紛争勃発の予想困難によるブロック域の変動性であろう。1については最終的合意がなされない場合は武器供給国レジームの決定に基づく各国への配当が下されざるを得なくなる。これは「国連は自衛のために正当な手段を獲得する権利を侵害しない」という国連憲章第51条に矛盾しているように見える。これに対しては現在不利な状況におかれている地域を援護する方針で武器供給レジームがそのブロックのバランスと安定を図るというフォローでしか対応できないが、自衛権が「予想される敵国の襲撃に備える」ということを第一義としている以上、自国が属するブロックでの兵器輸入総量の上限化がもたらすものが自国の防衛上の不安を増大する性質だとは言えないのではないか。輸出レジームが優先的に輸出を許可する地域の基準は、例えばドイツの対外支援の観点となっているGNP及び政府予算に占める軍事支出の割合、全輸入に占める武器諭入の割合、工業生産に占める武器生産割合、人口に占める兵士割合などが着眼点としてあげられる。これに加えてその地域での表面的及び潜在的な紛争危機性が考慮されるべきなのは言うまでもない。また2の問題点である地域紛争の不確実性をフォローするものとして例えば6ヶ月~2年サイクルでのブロック域の見直しが必要となる。逆説的な様相を呈するかもしれないが、短期問ごとの見直し体制をあらかじめ設定することにより流動的な世界情勢に対応し得る長期的な普遍性を輪入管理レジームに持たせることを意図するものである。これらのブロック分割と公正な内訳協議の場を国連が主体として提供する。その際、登録制度の対象兵器に加え機関銃やライフルなどの小火器も項目に加えられるべきである。それらに対する査察制度の整備に関しても、地雷規制のオタワ・プロセスで指摘されているような時間的期限の暖味や制裁制度の欠如などを克服すべき課題の例としてあげたい。また一部の発展途上国などに見られる煩雑な貿易規制手続きへの713