ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

その見地においてこれまでの既存のレジームの要点と課題をまとめてみると、次のようになる。・兵器の輸出入管理を実行するためのある程度の拘束力が必要である。・これからの小規模紛争に対応した小火器などのいわゆるミクロ兵器の規制が加えられるべきである。・実行の施行状況を確認できる査察体制が必要である。・輸入管理と輸出管理の二重の管理体制が相互の健全な機能を促進する。・輸出国間の協調、さらに輸入国の自衛権を尊重したシステムが必要である。・冷戦構造の残滓とも言える、諸国の懸念対象の認識の違いに対応すべきである。・これからの変動的な国際情勢に対応しうるレジーム体制が必要である。・小国や懸念国の軍事力を急速に増大させ得る汎用品の規制が肝要である。・グローバルで、かつ地域の政治状況にあったスピードの軍拡減速化がなされるべきである。<輸入に対する包括的規制制度>まず輸入面を規制する体制として、国連によってP5とドイツという主要な武器供給国と日本を除くすべての地域をいくつかのブロックに分け、その地域ごとに輸入される総量を毎年ごとに固定するシステムをつくる。(除外国の定義は後述)。このブロックの分割基準は、顕在的及び潜在的に敵対する地域の最も懸念される危険度が高い限度域までを一つの枠とする。例えばインド、パキスタン及びバングラディッシュなどの近隣国である。そしてそのブロック内での武器配当の内訳は当ブロックでの自主性に委ね、協議によって決定することが望ましい。この構想の根拠は、近代においてほぼ全ての国家が近隣諸国との軍事上及び経済政策上の理由から地政学的な戦略を安全保障の枢軸としている現実を考慮し、地域全体の絶対量をあらかじめ設定することによって、冷戦期のようなパワーポリティクス観に基づいた無制限な軍拡を有限化することにある。そしてブロックごとの軍拡抑制のスピードに幅を持たせることによってグローバルで同時進行的な拡散抑制の実現を712