ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第15回優秀賞警戒態勢をとることを可能とする。<成果と課題>これまでに100ヶ国近い登録がなされている。特に主要兵器輸出国であるP5とドイツが参加しており、武器の流通の把握にとってこれらの成果は大きい。登録対象の兵器として、戦車、装甲戦闘車両、大口径火砲システム、戦闘用航空機、攻撃ヘリコプター、軍用艦艇、ミサイル・同発射装置の数量登録があげられているが、これはCFE条約がベースとなった項目となっている。同条約と同様に、小火器の規制は含まれていない。また国内生産や軍備保有に対しても情報の公開を求める動きに対して中国、インド、イスラエルなどの反対があり、実現は持ち越されている。このシステムは武器流通の透明性を高める当初の目的を達成してはいるが、兵器移転規制に関してはなんら効力をもつものではない。5国連主体による望ましい通常兵器管理体制とはこれらの要素を踏まえて、では国連主体によるどのような管理が必要なのか、一つの試案をモデルケースとして考えてみたい。ここでは、あくまでグローバルな通常兵器の拡散抑制を図るために、世界同時的な軍縮段階まで踏み込まず、あくまで軍拡のスピードを減速させることを第一義とする。それを前提に兵器の保持や使用の規制とは次元を異にして、兵器及び関連技術の輪出入を制限するレジームを想定したい。なぜなら、兵器の保持を規制するのは各国の自衛権の尊重を考えるときに現実可能性が低く、また使用を規制するというのも現時点では困難と言わざるを得ないからである。そのような現状を鑑み、量を規制するという輸入面と、量と質を規制する輸出面の両面から軍拡への抑制を図るものとする。ワッセナーアレンジメントのような輸出規制に新たに輸入規制の概念を加えた理由は、例えば最近のインド・パキスタンの核実験のように、輸出管理は軍備の実質管理能力をもったレジームがあって初めてその補完的な機能を発揮出来るものだからである。711