ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

その技術的及び取引額のレベルは様々であり、その目的も外交的なもの、イデオロギー的なものと多角的ではあるが、特に冷戦後においては、経済的な要因が主軸であると考えられよう。先進国にとり、核中心の戦略兵器の軍縮がもたらす経済成長へのマイナスの要因を緩和させるために核保有の先進国が紛争地域の途上国に対して通常兵器を大景に輸出するという背景があり、また発展途上国にとっては、外貨を節約し、国防支出を削減するという要因がある。発展途上国においては軍需産業は国内の産業の中で最も先進的な分懸にあり、民間では抱えきれない高度な専門職の需要を満たしていたのである。しかし実際にグローバルな軍備輸出の構図を考えるとき、その軍事力と同様に圧倒的なシェアを占める米国の軍需産業と、その他の主要な輸出国、ここではロシア、英国、仏国、独国、中国の存在が自ずと中心になるだろう。特に、湾岸戦争による通常兵器の自粛的な沈滞後、主要国の輸出は1994年以降再び増加傾向にある。(グラフ参照)防衛産業は一部の地域に集中する傾向があり、兵器輸出の減少はその地域における雇用に大きな影響をもたらす。また防衛産業の生産額全体における輸出額の割合は米国で約15%、欧州では約40%にも達し、自国の輸出規制がその防衛産業界に与える影響は大きい。特に主要武器輸出国であるP5は、貿易赤字に悩む中で兵器に対してはある程度の競争力があり、貿易赤字を解消するために武器輸出は重要な意味を持っている。本章では、主要国の中でも特に輸出規制の同意において鍵を握ると思われる米国、ロシア、中国の兵器輸出に対する主な動向に注目し、米国の産業界と同国の安全保障体制との軋櫟にも触れ、主要国の軍需産業の民間への可能性についても展望する。ではまず、米国の軍備輸出に対する動向について見てみよう。<米国の軍備輸出に関する政策>米国の輸出規制対策を端的に言えば、冷戦期においてはココムという多国間の枠組みと自国の輸出規制をもって共産諸国に対する規制を軸とし、冷戦後においては旧東側諸国に対する規制を緩和する一方で湾岸諸国や懸念国への規制を強化するものであると言える。両時期において共通している問題点は、自国の輸出上の利益と安全保障上の妥協点をどこ702