ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第15回優秀賞「冷戦後におけるグローバルな通常兵器管理体制へ向けた国連の役割」矢部千晴1冷戦終結後における通常兵器管理の意義冷戦という緊張した、しかしある意味で統制のとれた国際関係は各国に明確な敵対関係とそれに対応する政策をもたらすものだった。しかし冷戦崩壊後、それにかわる新たなグローバルな秩序は見いだされていない。そのような状況において冷戦崩壊直後に減少した通常兵器の総輸出量は1994年以降再び増加傾向にある。超大国や一部の危険国家が保有する核管理はこれからの安全保障を考える上で欠かせない最重要課題となるが、アンゴラやソマリアなどの地域紛争では小銃や機関銃が中心に使用され、兵員及び一般市民に多大な死傷を与えてきた。通常兵器は現実的に紛争時に最も使用される可能性が高い兵器であるが地域的な通常兵器管理レジームが機能しているのは欧州など一部の先進国にとどまり、発展途上国などレジームなきまま軍備の増強傾向にある地域は少なくない。東南アジアにおいては地域的な景気の後退により軍拡率は例年より落ちているものの、ARFの機能低下などによる軍備管理体制が弱体化した。中束を見てみると、通常兵器管理に関する対話は1992年以来地域安全保障体制と共に膠着状態に陥っている。地中海沿岸では信頼譲成措置と軍備管理に関する体制が準備できていない。中米ではそれらがさらに遠い道のりとなっている。第三世界で戦争遂行能力が向上している一方で国連では大国の内向政策などによる紛争勃発後の仲裁力が低下してきている。国際機関の一つとして国連は、本来その加盟国が財政的に支持できる範囲の活動でしか機能し得ない。そのような資金的な拘束があり、一方でPKO予算が増加する傾向である現状を考えるとき、例えばある領土問題による小規模の紛争などに安保理が真剣に対応できる可能性は今後ますます少なくなるだろう。つまりこれからは予想困難で多発する紛争をいかに未然に防ぐかが国連にとって695