ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

ソ連)は見る影もなく、勝者たる米国も日本、ドイツなどの財政援助がなければ大きな軍事作戦一つできなくなってしまっている。かといって、ドイツや日本が新たな超大国になり得るかと言うと、両国とも大量の軍備を備える可能性がほぼないため、以前の米ソほどの軍事、政治大国になるという事はまず有り得ない。アメリカはこれからも世界の盟主であり続けるだろうが、以前程の影響力は失われていくと思われる。要するに権力の分散化現象が起こっているのである。しかし、これから我々人類が直面していく問題の解決には指導力、軍事力、そして経済力の全てが必要とされる。一国がそれらすべてを兼ね備えていないこの混乱期には、国連が各国に国際貢献を強制し、それを調整していかねば解決は不可能であろう。ある程度の内政干渉もこれ以上の情勢悪化を防ぐためには必要と思われる。ボーダーレス時代となった今日、各国の状況は国境を越えて世界に広がっていく。もはや自国の安定のみを求める時代ではなくなった。そういった安直な考えを持った国を国連の決議に従わせるために、罰則の強化、さらには拒否権の廃止による大国支配の国連から本当に平等で力をもった国連への転換は不可欠なのだ。[B]紛争への介入冷戦の間、世界は不安定ながらもなんとか秩序を保っていた。ソ連崩壊、アメリカの冷戦勝利による圧力での消滅の結果、傘の外に放り出された小国の反動勢力、ゲリラ、革命児、反乱軍、その他諸々のグループは今までの援助をもとに大規模な内戦を始めたのである。ソマリアがその例で、これに周辺諸国の思惑が重なって紛争はさらに複雑化、拡大の一途を辿っていくことになる。最重要課題であった対共産圏軍事戦略もほぼ無用の長物と化し、同時に経済の疲弊に追い詰められたアメリカは国内問題に目を向け始め、そういった自らに直接影響の無い紛争に口を出す余裕がなくなった。武力紛争が起こった場合、国連は即刻手を打って解決を図らなければならない。武力の投入も早期解決のためには仕方がない。だが、今まで武力介入の中心であったアメリカやソ連がそういう状態になったのだから、国連は自分の軍隊を作って対処していくべきであ66