ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

ギーである。『非合理主義的排外主義』については、感情的で文化国粋主義的、極右的な視点からなされるグローバリズム批判であるとだけ言っておけば良かろう。以上、現在のグローバル資本主義経済社会を取り巻くイデオロギー的基盤は、『合理主義的自由主義』(現状の無規律的グローバリズム)『反合理主義的自由主義』『合理主義的設計主義』『非合理主義的排外主義』の四種があると私は考えている。現状のグローバリズム(合理主義的自由主義)に対する当面の論題としては、ハイエクに依拠して、『合理主義的設計主義』と『合理主義的自由主義』について論じてゆこうと思う。『反合理主義的自由主義』については次章にゆずる。まず、『合理主義的設計主義』は、個々人を孤立的存在、自給自足的存在と前提し、「社会やその他の社会的全体存在を、それらを構成する諸個人とは独立に存在する特殊な実体として直接に把握できる」6とする。そして、人間を善なる合理的存在であるとし、高く評価する人間理性(Reason)が、「常に完全かつ平等に全ての人間に通用すると考え、人間が達成する一切は個人の理性の支配の直接の結果であり、したがってまた個人の理性の支配に服する」と考える。慣習や伝統と言った自然発生的、個人の理性によって設計されたものではないもの、理性にとって完全には明瞭でないものに対しては軽蔑する。ルソーの社会契約論などは典型的な合理主義的設計主義の産物である。それは個人を出発点とみなし、個人がかれの特殊意志と他人のそれとを形式的な契約において結合させることで社会を形成するのだという設計理論を含んでいる。そして、この設計理論は「社会的過程が個人の人間理性の統制に従属させられるときに限って人間の諸目的に役立つようにされうる」という統制的集団理論に帰着する。社会主義はもとより、通貨危機の見舞われたロシアやマレーシアが最近採った中央政府主導の経済統制化政策は、まさにこの『合理主義的設計主義』に立った政策であり、全く自由主義とは対立するものである。では、『合理主義的自由主義』(現状の無規律的グローバリズム)についてはどうであろうか。現状のグローバリズムのことであるから、大方は既述してある。『合理主義的設計主義』との関連では、人間理性を盲信し、善なる人間は合理的存在であるとする点、伝統66464参照。