ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

2.グローバリズム・イデオロギーの原理(均質性)ここで、まず私見を展開するに当たって、グローバリズムの定義を示しておかねばなるまい。少なくとも拙論における「グローバリズム」とは何かを明らかにしておかなくては議論ができない。私は、グローバリズムとは「西欧近代の普遍的理念を均質性と合理性とをもって全世界に強要できるという確信的思想」であると定義している。この詳解は本論の骨格でもあり、本論の全体を統合的に読んでいただければ自ずとわかっていただけるであろう。西欧普遍理念には、とりわけアメリカのそれ、小さな政府、市場主義、自由主義、民主主義、多民族主義、科学技術主義など、多次元的で枚挙に暇がない。ヨアヒム・ヒルシュ1の指摘通り、グローバリゼイションは正確に理解されている学問的概念ではなく、フェチシズムとでも言えるかもしれないが、敢えて経済的、政治的、技術的、文化的にも包括的に定義しようとすればこうするしかないと思う。これが唯一の超大国としてあらゆる分野において圧倒的パワーを持つアメリカの国益と結び付けられて、世界的に猛威を振るっているのである。断っておくが、グローバリズムをアメリカニズムとリンクさせて論じると感情的な排外主義者と思われるかもしれないが、事実として西欧普遍理念の純粋培養としてのアメリカニズムとのリンクは否定できないし、しかし、だからといって、日本など非欧諸国が西欧的経済システムにおいて生存していかざるを得ない以上、短絡的な反米国粋主義に陥るのは誤りであるとも思っている。だが、このアメリカニズムとグローバリズムのリンクが「民族」「国家」を強調する国粋主義を想起させるという一般通念こそ、グローバリズムの一側面を如実に物語っているのである。というのは、私の定義でも言及したように、グローバリズムは均質性を持つからである。それはアメリカニズムという「普遍性」の殻を被った個別的文化の強要であるとして、各国で自国文化(つまりはアイデンティティ)を守れという国粋主義を引き起こす。これも分からなくはないが、グローバリズムがグローバルを称する以上、グローバルな一律の均質的基盤を前提としていることは当然であろう。グローバル資本主義も自由市場主義がグ6581ヨアヒム・ヒルシュ「グローバリゼイションとは何か」『情況』98年11月号。