ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「グローバリズム・イデオロギーと国連の役割」第15回優秀賞小島秀信1.はじめにグローバリズムは近年、現代世界の巨大な津波となって新興国を含めてほぼ全世界に波及している。これは冷戦後、交通・通信の急速な発展に支えられ、グローバル市場経済システムが成立しつつあるという楽観的時代状況のなかで一大潮流を形成した。共産国たる中国すらもグローバリズムの潮流を無視しえないのであるから、これはかつて無かったほどの普遍性、一般性を持っていると言えるだろう。今までに類似したような世界的潮流はあったが、普遍性をここまで極めたものはなかった。例えば、20世紀まで続いた帝国主義的世界分割競争の普遍性は、イギリスという相対的世界帝国が世界を支配したかのようではあったが、フランスやアメリカなどとの協同的棲み分け秩序(西欧国家体系)によって維持されうるものであったという点では限定的である。また、植民地帝国たるイギリスは外部からの軍事的・政治的パワーによって植民地を広げることで、ローカルな社会経済システムを拡大統合していったのだが、これはイギリスの政治力・軍事力に裏付けられた意識的で統制可能なものであったという点でも限定的である。しかし、現代の世界金融市場経済を軸としたグローバリゼイーションはかつて無かったほどの無規律的膨張力を持ち、こうした未曾有の現象に世界各国は対処しかねているのが現状だ。それはアメリカやイギリスなどアングロサクソンのグローバリゼーション模範国と言われる国々すらも例外ではない。657