ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「グローバリズム・イデオロギーと国連の役割」第15回優秀賞小島秀信要約ノーベル経済学賞の審査基準が97年と98年では正反対であった。97年はグローバル市場主義経済の核となるデリバティブ理論であったが、98年は弱者的視点に立った経済理論を構築したアジア人経済学者が受賞したのである。グローバリズムが確実に軌道修正を余儀なくされていることが、このことに如実に示されているのではないだろうか。グローバリズムの再認識を今、試みることは無駄ではあるまい。グローバリズムが90年代の一大潮流となって、世界を席巻しているのだが、この概念ほど混乱しているものはない。拙論は、グローバリズムをイデオロギーとして捕らえ、その原理を解明しようと試みたものである。私は、グローバリズムとは「西欧近代の普遍的理念を均質性と合理性とをもって全世界に強要できるという確信的思想」であると定義している。まず、この定義から出発して、グローバリズム・イデオロギーの原理は大きく二つあり、それが均質性と合理性であることが述べられる。合理性について言えば、グローバリズムを取り巻く経済イデオロギーの原理は四つあり、現状の無規律的グローバル資本主義は『合理主義的自由主義』、中国の社会主義的市場経済やロシア、マレーシアの採った統制経済は『合理主義的設計主義』、極右などによる反米グローバリズム批判は『非合理主義的排外主義』、そしてアダム・スミスやハイエクが唱えた『反合理主義的自由主義』に分類される。よって、私は現状のグローバリズムはアダム・スミスやハイエクのような自由主義経済思想として論じるのは誤りであると思っている。『見えざる手』の誤用がグローバリズムの軋轢を助長しているのであって、グロー655