ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第14回佳作反米主義は論外だが、「国際の平和と安全」の実現という観点から不当と思われる行動には断固反対の姿勢を貫く必要がある。特に日本が常任理事国入りした場合、全くアメリカに同調した態度を示すなら、アメリカの票を一票増やすだけのことになり、国際社会の失望と批判を免れないだろう。アメリカの覇権に翻弄されることをおそれる国は多い。が、日本が何らかの形でそのおそれを緩和するような行動をとることができるならば、日本のみならず、日米のパートナーシップに対する国際的な信用を勝ち得ることもでき、共同で「国際の平和と安全」に貢献していくこともできよう。ただし、情緒的な反米論に同調することはあってはならず、あくまでルールと独自の情報分析に基づく拒否力を保持するのでなければ意味はない。またアメリカでは保守派を中心に国連に対する批判が強く、国連に背を向ける可能性も高いが、日本はそのような場合に、ヨーロッパと連携するなどして、国連や安保理の機能を損なわないように支援し、同時にアメリカの関与を促していく必要がある23。いずれにしても、「ルールのアプローチ」に基づいた外交手腕が要求されよう。国連は決して、国家を超越する主体ではない。したがって、日本が「国連中心主義」を標榜するならば、その意味は、国連という手段を有効に活用して「国際の平和と安全」に寄与する能動的な主体として行動する、という以外のものではありえない。そのための条件を現在の日本は備えているだろうか?安保理の改革と同時に日本の自己改革の必要を明記して、この小文を終えることにしたい。23河野前掲論文18-20頁。625