ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「21世紀への世界新秩序形成と国連の機構改革(特に安保理改組)について、日本は何を主張しいかに行動すべきか」金子将史Ⅰ.はじめに憲章に明らかなように、国際連合(以下国連)の最大の目的は「国際の平和と安全」の実現にある。冷戦の終結を受けて、「国際の平和と安全」に対する国連の役割に強い期待が寄せられたのもつかの間、「国連の再生」が語られたが、ソマリアやボスニアでの失敗を前すると、今度は「国連の失敗」が叫ばれている模様である。しかし、あらゆるニヒリズムがはじめから存在しない「本質」への喪失感から生じるように、国連への幻滅は、実在しない国連「本来の」機能への過剰な執着の反転でしかない。勝手に期待しておいて、それが実現されないとなるとなじり出すというのでは、国連も割りにあわないというものだろう。必要なのは、当為としての国連を夢想することではなく、国連にできることは何かをしっかりと見定めることであろう。憲章によって「国際の平和と安全」に主たる責任を負わされているのは安全保障理事会(以下安保理)である。本論文では、まず安保理改革をめぐるさまざまな議論を概観する。ついで現代における「国際の平和と安全」への脅威を明確にし、その上で日本が安保理改革について何を主張すべきかを論じていく。最後に、「国際の平和と安全」に寄与するために、安保理改革と並んで日本の自己改革が必要であることを訴えて本論文の結語とする。Ⅱ.安保理改革の諸相ここでは、安保理改革をめぐる様々な視点を整理しつつ概観する1。日本で「安保理改革」という場合、日本(とドイツ)の常任理事国入りに関心が集中しがちであるが、実際には、もっと様々な視点から安保理の改革案が提起されてきている。6121以下安保理改革についての記述は庄司真理子「国連改革の分析と展望」『レヴァイアサン』(木鐸社)1996年冬号と、ミングスト&カーンズ「ポスト冷戦下の国連」(世界思想社)第6章を参照した。