ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「21世紀への世界新秩序形成と国連の機構改革(特に安保理改組)について、日本は何を主張しいかに行動すべきか」金子将史要約本論文では、まず安保理改革をめぐる議論を概観した(Ⅱ章)。さまざまな安保理改革案は1メンバーシップ改革2拒否権の再考3安保理の集権化の是正、にまとめることができるが、これらはいずれも安保理が実現すべき「国際の平和と安全」の中身は自明とし、安保理の制度や運用法を論じる傾向にある。しかし、国際環境は国連創始時とは大きく異なっており、現在必要なのは、現在どのような脅威が存在しているのか、そして、どのような枠組みでそのような脅威に対する国連や安保理の問題解決能力を高めていくかを論じることであろう。このような観点から前事務総長ガリによる『平和への課題』をサーベイし、その問題点を指摘した。Ⅲ章では、ガリの構想によって提起された問題をふまえ、現代における「国際の平和と安全」に対する脅威を明確にし、それに対する安保理や国連の対応について検討した。現在世界がとりくむべき紛争は1大国間の戦争2大規模侵略3低強度紛争の三つに分類できる。このうち、1大国間の戦争に対しては、安保理は間接的に抑止の機能を果たしている。2の大規模侵略に対しては、湾岸戦争にみられたような方式がさしあたって有効であるが、いくつかの問題も存在する。現代の紛争の主流は3の低強度紛争であるが、安保理や国連は有効な解決を実現できていない。Ⅳ章では、Ⅲ章での紛争認識をふまえて、安保理改革について日本が主張していくべきポイントを提示した。日本では安保理改革というと、常任理事国入りが想起されがちだが、戦略を欠いた常任610