ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第14回佳作域であり、日本は安保理の常任理事国になるよりも、むしろ経済社会理事会の具体的改革案を提出し、そのリーダーシップを取ることがより重要ではないかと考える。国連拠出金の12.5パーセントを負担する日本は、国連本部で18,000、下部機関を入れて5万4千人の職員数に対して、たった1,000人そこそこの職員しか送っていない。日本が抱えている多くの優秀な人材を国連専門機関に派遣し、国連の社会経済開発プログラムのために働くことが、日本が行える最も効果的な協力である。国連専門機関での活動から蓄積される経験と実績は、ひいては社会経済理事会における日本の発言力を生み、リーダーシップを促していく。歴史的知識も持たず、軍事的経験も無いままに日本が紛争地に介入し、関係国の反感を買い敵を作り、底無しの軍事費を負担することは決して得策ではない。それよりも日本が本当に貢献できる道は、武力を使わない平和共存・新しい技術による人類発展の道である。同等の経費を使って日本の人材を国連機関の平和的開発活動に送り込むことの方が成果は非常に大きい。そういう貢献によってこそ、世界の日本に対する評価と信頼を高めることができるのである。今までの平和主義を貫いてきた日本の本当の意味が評価されるのは、かかる平和共存と発展の分野であり、決して武力ではない。冷戦が終息し、先進国が不毛の軍事力を削減しなければならないと考えている時に、逆に軍事負担を背負うことは世界の流れに逆行することである。日本は今こそ核兵器廃止と侵略武器の制限を主張すべきである。日本が安全保障理事会の常任理事国になったとしても、今まで屈辱に耐えて平和憲法を守ってきた国民の努力を無にするような方向を取ってはならない。609