ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

見通しと意志を明確にしなければならない。社会・経済理事会冷戦下で国連が紛争解決に充分な体制をつくれず、能力も発揮できなかったのに対して、社会、経済、衛生、食糧、教育、文化などの分野で国連専門機関は大きな役割を果たしてきた。それぞれの機関が地域的な組織を持ち、専門官・行政官が途上国で国と一体になって協力してきた結果、長い目で見れば発展途上国は明らかに進歩の道を歩むようになっているし、先進国間の協力も促されて来た。これらの活動は、FAO、ILO、WHO、UNESCOなどを含む16の政府間機関、UNDP、UNICEFなどを含む10の国連プログラム、およびUNU(国連大学)、UNDRO(国連災害救助調整官事務所)など四つの特別組織によって行われている。しかし地域組織や本部組織には、長い間に官僚的弊害がはびこり、業務の停滞と非能率化が起こり、各機関の間では、活動の重複と無駄と縄張り争いが起こっている。多くの機関で仕事の領域を増やしている一方、現実には、会議を行うことと調査報告書をつくることで事足れりとして、現状を改善するところまで踏み込んでいないことが多い。地域事務所または下部組織に対する本部の管理が行き届かず、地域や末端で不正や非能率化が起こっている。また、本部および地域の事務局長選出の二重選挙制度が原因で、本部が地域事務所を充分コントロールできないなど制度上の問題も抱えている。これらの問題は、紛争地における国連軍行動のように事態が世界の政府や国民の目に曝されることがないため、各機関内で実態の隠蔽が行われ、内部の監査機能も有名無実化して、徹底した改善がおこなわれる見込みが無い。国連改革が得てして安全保障理事会や国連財政の問題に集中しがちであるが、これからの国連に必要なことは、本来の役割である社会経済開発の分野における活動を積極化、効率化することである。従って、それを担う各専門機関の抱える問題を充分把握し、改革を断行することが必要である。これら機関の経費の無駄使い、不正な人事管理、事務の非能率化などの問題について、1993年、国連事務次長を務めた元米司法長官のソーンバーグ604