ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第14回佳作られてきた民族の自治が今実現される過程であると言えるかもしれない。ソ連と周辺ではすでに22の新しい国ができ、東西ドイツが統一された。そして、南アでは民族融和が実現し、アフリカ、太平洋地域で7つの国が新しく独立した。軍事的覇権主義の破綻ソ連の崩壊は軍事力を背景にした覇権主義が行き詰まったことを示している。同様に軍事力による覇権を求めてきたアメリカも、結局は膨大な軍事支出により国家財政を逼迫させ、国内経済を危機にさらすことになった。これら大国の地域紛争に対する介入は、膨大な犠牲にも拘わらず成功したケースは一つもない。ソ連のアフガン戦争、米国のヴェトナム戦争、対イラン外交の失敗とそれに続く、イラン・イラク戦争など例を挙げるまでもなく、全て大きな痛手を受けた結果失敗に終わっている。パレスチナ・イスラエル問題でも多大の犠牲を払いながら解決の道はまだ遠い。むしろ紛争地への軍隊の介入が、逆に紛争の傷を広げ、問題を大きくし、現地民族の米ソへの憎しみを招いて来たのが実態である。ソ連の軍事的脅威が弱まったことと、過去の手痛い失敗から、アメリカは地域紛争への独自の軍事介入を避けている。湾岸戦争やソマリア派兵に見られるように、同盟軍との共同戦または国連軍への肩代わりを意図している。また日米安保についても日本の負担と義務履行をますます強く求めてきている。こうしてアメリカとソ連が国際紛争への直接介入から手を引き、国内財政再建と経済浮揚に努めている事実からしても、海外紛争に対する一国の軍事介入が如何に大きな犠牲を招いてきたかを理解できるし、肥大する産軍体制が政治を誤らせ、国を危機に陥れることを如実に示している。国連に求められる新しい役割冷戦構造の弊害は大国の経済的疲弊だけではない。常に軍事問題が先行して、各国の抱える社会的、経済的、環境的問題が「世界的な課題」として充分討議されてこなかったことである。もちろん国連の各専門機関では問題を提示していたが、これらが国連総会の場599