ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第14回佳作「21世紀の世界新秩序形成と国連の機構改革、そのための日本の役割についての提言」千田亨要約ソ連の崩壊により、米ソ二極の冷戦体制が崩れた。これにより世界大戦の危険は遠のいたが、今まで二極構造のもとで押さえられていた地域で、民族的、宗教的、政治的対立が表面化し、地域紛争が多発化している。軍事的覇権を競ってきた米ソの経済的破綻により、両国は紛争地への軍事介入から手を抜こうとしており、国連を中心とした紛争解決の方向を模索している。その動きに伴って、持ち上がって来たのが国連軍の強化策であり、安全保障理事会の改革の問題である。現在の国連軍は米国の主導する国際軍でしかない。真に中立で、戦争抑止の実効を持つ国連軍が必要とされるが、その実現は容易ではない。公平な第三者としての国連の立場に抵触することなく、いかに戦争防止の効果ある手段とするかについて、今後も充分な検討が行われなければならない。第二次大戦の先勝国が拒否権をもって支配する安全保障理事会の機構について、以前から他のメンバー国によって問題が指摘されてきた。ここに来て改革の動きが出てきた理由は、増大する軍事費を現在の常任理事国が負い切れなくなった経済的原因にある。また、調停者たるべき国連が、武力を使って紛争を解決することの困難を考えれば、安全保障理事会にも必然的に機能の限界があると見なければならない。かかる状況で、安保理をどう変えて行くのか。また平和憲法を維持する日本が常任理事国となって、何ができるのか、また何をしようとするのか。ただ増大する軍事費を負担するだけのものなら意味はない。少なくとも、新しい安保理は世界の軍備を縮小する方向で595