ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第9回優秀賞一方、非政府間国際機構は数多くの分野で設立され、その数も年々増加してきているが政府間国際機構と異なり、政策決定者のレベルだけではなく一般大衆により密着したものであるため、国家の政策や威信といったものにとらわれない自由で協調性の高い活動を行っている。これまでにも南アフリカ共和国におけるアパルトヘイト等の人権問題について国際世論を作り上げたり、東欧諸国の民主化運動の基本的理念の構築に影響を与えたり、また先進国と発展途上国あるいは第三世界国家間の相互交流を促進させる等、その国際政治に与えた影響は大きい。今後はこのような多岐に渡る民間レベルの国際組織を国連が系統だてて統轄し、その活動をより一層有効性の有るものにして行く必要が有ると思う。また、国家間のコミュニケーションを円滑に進めるためには、正確な相手国についての情報を入手する必要が有り、現在のように世界の情報が先進国の少数の通信社のみに握られ、一方的に送られる状況は改善されるべきである。開発途上国からの情報発進も受け入れる新たな国際情報システムの構築が必要であろう。これまで述べてきたように東西冷戦終結後世界は軍事力を権力基盤とした米ソ二大超大国による双極構造から、経済力を権力基盤とする多極化へと向い、軍事的には超大国の統率力の低下により民族紛争、地域紛争が激化しているが、大局的には軍事的戦争から経済的戦争の時代へと以降し、世界的な社会構造経済構造の大きな転換期に来ていると言えるであろう。今までの先進国によって確立された国際社会の秩序は政治、経済を含めたあらゆる点で開発路上国に従属関係を強い、それによって先進国の発展を維持していくという支配構造であり、これではいつまでたっても開発途上国の経済発展、真の意味での国家としての独立は望めず、先進国と開発途上国との格差は一向に改善されないのである。そこで今、開発途上国を対等の立場で国際社会に受け入れられるような多元的な価値が併存する、そして各国の国益と全人類的利益の調整が計られ、富と権力の再分配が平等になされるような新しい国際秩序の構築は模索され始めているのである。このような世界的な動きに伴って、国連の理念とする世界平和の「平和」の意味すると57