ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

の脆弱性35は高まる。よって、この脆弱性をできる限り克服することが日本の安全保障につながる、と考えられる。そこで、私は、日本の安全を確保するためには、多層的安全保障体制の構築が必要である、と考える。これは、安全保障体制を多層にすることで、ある体制における日本の脆弱性が高まっても、他で補えるようにしよう、という考えに基づいている。多層的安全保障体制とは、軍事的または非軍事的な、様々な国の数の安全保障の枠組みが重層的に重なる体制である。この体制の中では、それぞれの枠組みが自らの長所を生かして36日本の安全の確保に貢献する。つまり、多様な機構が存在することによって互いが相互補完的に作用し、日本の安全はより強固に守られるのである。多層を構成する具体的な枠組みとしては、バイラテラルな枠組みとしては日米安全保障体制、ミニラテラルな枠組みとしては日・韓・北朝鮮・中・露・米などの国々よりなる北東アジア地域フォーラムのような体制、マルチラテラルな枠組みとしてはARFやCSCAPなどのアジア・太平洋地域の枠組み、そして、グローバルな枠組みとしては国際連合といったものが挙げられよう。このような多層的安全保障システムを構築するためには、日本のより積極的な国際貢献が必要となってくるが、その内容について次に述べる。<概念図>多層的安全保障システムUnited Nation(国連)多国数*相互補完的で多様な機構少軍事同盟非軍事同盟軍事・非軍事同盟間少国・多国同盟間3.日本は何を主張し、如何に行動すべきかこれからの「世界新秩序」において、日本は何を主張し、如何に行動すべきか。ここでは、本レポートの結論として、私なりの考えを述べたい。57035主体が重要と考える変数(指標)に起こった変化を、自らの内部状況を変化させることによって許容範囲に戻すことができるかできないかの度合いを示す指標。36一般に、少国間体制は実質的で機動性があるといわれ、多国間体制は象徴的で機動性が無いと言われている。しかし、多国間機構では信頼醸成がなされやすい。また、軍事的機構は平和を乱す脅威に対して抑止、または直接的な阻止など実力的な行動をとることができ、短期間での脅威消滅に関して実効性が高いと言われているが、非軍事的機構は主に信頼醸成をすることによって脅威に対抗しようとするので短期的な実効性は低いと言われている。しかし、長期的な視点からとらえると、非軍事的機構の信頼醸成は脅威消滅に多大な貢献をする。