ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

ページ
571/912

このページは 佐藤栄作論文集9~16 の電子ブックに掲載されている571ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

佐藤栄作論文集9~16

第14回優秀賞活躍し、普遍的なイデオロギー(自由主義的民主制、市場経済)がシステム大に浸透している「新しい中世」的な世界システムになると考えられるが、短・中期的にはイデオロギーの浸透度合いで分けられた「3つの圏域」より成る世界システムであり続ける。以上のような「世界新秩序」における日本の立場とはどのようなものなのであろうか。まず最初に言えることは、日本は「第一人者型」の多極の世界である「世界新秩序」において、重要な一つの極となる、ということである。「世界新秩序」においては、国家のパワーとして、軍事力だけでなく、経済力・説得力が非常に重要となる。世界のGNPの18.2%を占める34日本は経済の面で突出したパワーを保持しているが、これは「世界新秩序」において、一つの極となるに十分値するパワーである。現在、不況で苦しんではいるものの、日本がこれからも現在と同等の経済を保ち続けるならば、日本はこれからの「世界新秩序」において、確実に重要な一つの極となるだろう。次に言えることは、日本には「世界新秩序」の普遍的なイデオロギーである自由主義的民主主義と市場経済が十分に浸透している、ということである。よって、現在の日本は「3つの圏域」の中の第一圏域(新中世圏)に属している、ということができる。また、これから「世界新秩序」が確固としたものになっていく中で、一旦浸透した普遍的イデオロギーがより浸透することはあれども、その反対はないと考えられる。よって、「3つの圏域」によって成る「世界新秩序」において、日本は第一圏域に存在し続けることが予測される。以上のことにより、日本は「世界新秩序」において、自由主義的民主主義と市場経済の成熟した第一圏域に属し、多極の中の重要な一極となる、という結論が導ける。2.これからの日本の政治・安全保障のあり方「世界新秩序」における日本の位置が明らかになったところで、次に、「世界新秩序」の中での日本の政治・安全保障のあり方について考察したい。Ⅱで述べたように、「世界新秩序」においては、秩序維持のために、各国の協調と利害調整が必要不可欠になる。また、世界各地の経済的なつながりも強くなる。すなわち、あらゆる分野において相互依存が進展する訳だが、一般的に言われている通り、相互依存が深化すると、それに含まれる主体34 1994年のデータ、「’96/97世界国勢図会」135頁。569