ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

のために必要不可欠な要素である「常任理事国同士の協調」を維持するために基本的価値(「世界新秩序」においては自由主義民主制、市場経済)を同じくする国を選ぶことである。日本とドイツはこの基準にも当てはまる。また、既に常任理事国となっている国の中に、基本的価値を同じくしない国があった場合、協調的安全保障システムの維持は難しいものとなるので、定期的な「常任理事国会議」を開催するなどの方策をとることで、お互いの認識を理解し、利害を調整しあうことが必要になろう。機能改革次に、安保理の機能改革について言及する。先程分類した国連の平和機能の類型を眺めると、紛争当事者にとって非中立の立場で行動するA, Bの活動は、どうしても強制的な活動が必要となるために、軍事力行使に傾きがちである。それに対して紛争当事者にとって中立な立場で機能するC, Dの平和機能は、非軍事的な方策を主として用い、平和に対する脅威をシステムの内側へ取り込むことを目指している活動であることから、Ⅲで述べた協調的安全保障システムで採られるべき措置と非常に近いものである、と言うことができる。よって、「世界新秩序」における国連の平和機能は、C, Dが中心となるべきだと主張できるのではないだろうか。Ⅴ.日本は何を主張し如何に行動すべきかここでは、本論文の結論として「世界新秩序」において、日本が何を主張し、如何に行動すべきか、ということについて述べたい。1.「世界新秩序」における日本の立場まず、これからの「世界新秩序」における日本の立場について考察する。最初に、繰り返すようであるが、「世界新秩序」がどのようなものかについて簡単に説明する。「世界新秩序」とは、「第一人者型」の多極世界であり、そこには覇権国は存在せず、各国の協調と利害調整によって秩序が維持される。また、最終的には、様々な主体が568