ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

ページ
57/912

このページは 佐藤栄作論文集9~16 の電子ブックに掲載されている57ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

佐藤栄作論文集9~16

第9回優秀賞てきたが、長年に渡る世界的不況により、南北の対話は行き詰まりを見せ始めている。また新たに天然資源という経済的権力基盤を持たない開発途上国が、天然資源を有する第三世界の国々の発展から取り残され、第四世界を形成しつつあり紛争の火種となっている。非同盟運動が非同盟国同志の対立や紛争により衰退してきた今、これらの国々の国際的発言力及び国際的地位をいかに確保し経済的に発展させて行くかが、国連の今後の大きな課題となってくるであろう。また、今まで先進国が開発途上国に対して為してきた開発援助にも、数多くの問題点が有ると言わなければならない。まず第一に、近代的な設備や機械を導入しても、現地の労働者の意欲、技術力、教育水準が一定のレベルにまで達していないため、十分にその効果が発揮されていない場合が多い。第二に、急激な経済システムや工業技術の変革が、生活様式の混乱や現地文化の破壊などの社会不安を引き起したら、公害を発生させたりして、現地社会を崩壊させてしまうという危険性をはらんでいる。第三に、開発援助資金及び技術者、教育者などの人材の絶対量が不足している。特に、各国の政府開発援助(ODA)の在り方をみてみると開発援助委員会(DAC)諸国の場合、ODAの対GNP(国民総生産)比が年々低下傾向にあり、アメリカは援助額では世界第二位の規模であるが、対GNP比では0.2%程度と国際的目標0.7%には到底及ばない低水準であるし、経済大国と言われるドイツや援助額では1991年度において世界第一位となった日本も、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、オランダなどに比べると対GNP比においても、ODAの質においても遙かに及ばない。またOPEC諸国もODAの絶対額が小さく、1980年代前半に比べると対GNP比も低下してきている。これは世界的な構造不況、原油価格の低迷、ソビエト連盟の崩壊、東欧諸国の民主化による国家再建等、各国とも自国の経済状態が厳しい状況に在るためと考えられる。第四に、援助を受ける側の国の問題として援助を受けることに慣れてしまい、国民に働かなくても援助を受けていれば暮らして行けるといった勤労意欲の低下、自発的意志の喪55