ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第14回優秀賞2.安全保障理事会改革次に、「世界新秩序」に対応した国連のあり方について考える。繰り返すようだが、本レポートでは、政治・安全保障に焦点を当てているので、ここでは、国連の政治・安全保障の要である安保理の改革について言及する。構造改革まず、安保理の構成改革について提言する。現在の安保理の構造は、基本的には第2次世界大戦の戦勝国の主導権を組み込んだ半世紀前の構造のままである31。しかし、上で述べたようにそれを取り巻く世界システムの状況は大きく変化した。つまり、安保理の構造が世界システムとうまく適合していない状況が発現しているのである。このままでは、これからの「世界新秩序」においても安保理が国際の平和と安全を守るために有効に機能することができない。そこで、次に述べるような構造改革を提言する。1安全保障概念の変化に合わせた理事国選び現在の安全保障システムにおいては、5常任理事国が大国として大きな影響力を持つに至っている。仮にこの影響力を投票力32とみなすと、安保理において、5常任理事国には77分の76の投票力があるとされる。裏返して言うと、非常任理事国には残りの76分の1しか投票力がない、ということである33。つまり、安全保障システムにおいて、5常任理事国は大国であるが、非常任理事国は中小国でしかありえない、ということができるのである。「世界新秩序」における安全保障は軍事力だけでなく、経済力・説得力によっても左右される。よって、「世界新秩序」に最も適合した安全保障システムである協調的安全保障システムを構成する大国、つまり安保理の常任理事国には軍事大国のみでなく、経済大国・政治大国も含まれるべきなのである。具体的に言えば、現在のP5に加えて経済大国である日本・ドイツを常任理事国に加えることを提案したい。2常任理事国の協調を生み出す方策:基本的価値を同じくする常任理事国選び、定期的な「常任理事国会議」の開催新しい常任理事国を選出する場合、もう一つ大切なのは、協調的安全保障システム維持31 1963年に非常任理事国を4カ国増加させる憲章改正が行われたが、それは、安保理の基本的な構造の変化であるとは思えない。32ある国が賛成すると可決され、反対すると否決される場合に、その国には投票力がある、とされる。33この計量分析の結果は山影進の「国際政治」講義において提出されたものである。567