ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第14回優秀賞民主制が非常に成熟している一方で、市場経済がほとんど定着していないような国があれば、その一方で市場経済は非常に発達しているが、自由主義的民主制がほとんど定着していない国があったり、といったような)。また、この圏域における重要な主体は依然として国家である。相互依存はそれほど深化していないため、紛争解決のための手段としての戦争が依然として存在し、脅しの重要性が非常に大きい。第三圏域(混沌圏)においては、自由主義的民主制・市場経済がほとんど浸透しておらず、内戦・クーデターなどの頻発によって、国家を統治するシステムが存在していない、つまり、この圏域の秩序は崩壊した状態にあるのである。以上が「3つの圏域論」である。最終的には「新しい中世」的な世界システムが出現するが、それまでのある一定の間、以上で示したような「3つの圏域」に分かれた世界システムが現れる。これが動態分析(趨勢論)によるこれからの「世界新秩序」のあり方である。4.まとめ以上述べたこれからの「世界新秩序」の3つの見方を整理すると、?静態分析による見方:「第一人者型」の多極世界?動態分析(循環論)による見方:各国の協調と利害調整が鍵となる「ポスト覇権システム」の到来?動態分析(趨勢論)による見方:短期的には「3つの圏域」に分かれた世界システムが出現するが、最終的には「新しい中世」的な世界システムが現れる。ということになる。要するに、「世界新秩序」とは、様々な主体が活躍し、システム大に自由主義的民主主義と市場経済が浸透しつつある世界システムであるが、その中でも特に各国の協調と利害調整によって秩序が維持され、その構造は、アメリカが第一人者となる多極の世界システムのことを指すのである。「世界新秩序」は近代世界システムをその前提とするものであったが、ここで、提出された「世界新秩序」は近代世界システムとどのような点で異なるのか、ということを考え559