ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第9回優秀賞絡み合っている上に、東西冷戦時代からアメリカのベトナム戦争やソビエトのアフガニスタン侵攻に見られるように、大国の利権が絡んだ代理戦争と化す場合が多く、紛争を長期化させてその解決を一層困難なものとしているのである。このような事態に対し国連は安全保障理事会においてその対応策を討議するが、常任理事国が拒否権を持つため、大国の思惑によりその機能を十分に発揮できないでいるというのが、これまでの状況である。そのため、常任理事国が拒否権を発動した場合にも、国連総会が武力行使を含む集団措置を加盟国に勧告するための「平和のための結集決議」が国連総会で採決された。しかし総会の決定は加盟国に対して法的拘束力を持つものではないし、またPKO(平和維持活動)にしても平和に対する脅威がある場合の応急策としては優れているが、関係当時国全ての同意を必要とし、また兵員の確保、駐留費用の分担などの面で大国が当事者として関与している場合には協力を得られず、思うような活動が出来ないという側面を有している。個々に国連における集団的安全保障の制度的限界が有ると言わねばならない。殊にソビエト連邦が崩壊し、その指導力が低下した今、安全保障理事会はイギリス、フランス、アメリカ主導で運営されていると言っても過言ではなく国連平和という大義名分のもとに、一部の大国の利害のためだけに国連決議がなされて行くといった危険な状態にあると言える。従って国連が大国の独断場と化すのではなく、紛争当事国間の意志を正確に伝達し、適切な措置を取る場として機能して行くためには、次のことが必要になってくると思う。まず第一に、東西冷戦終結を期に常任理事国間及び加盟国間の相互理解を深め、協調体制を確立し、常任理事国以外の加盟国の意見も反映していくようにすること。第二に、安全保障理事会の制度自体の見直しとして、固定化されている常任理事国の入れ換えや増設を検討すること。この際、常任理事国に第2次世界大戦の敗戦国である日本やドイツを入れないという考え方は、戦争に勝てば国際的に優位な立場に立てるという旧時代的発想であり、国連の平和、平等の理念からは程遠い、むしろ戦争を助長させるよう51