ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第14回最優秀賞「非暴力的な代替サービスの見地からは、世界平和と正義のために、各国政府がその兵士および兵器を国連平和維持活動に送ることをストップすべきであり、各個人はそれを拒否する権利があると考える。緊急の代替案として建設されるべきは、新しい国際的な法のシステムであり、それによって紛争の平和的で公正な解決をはかるようにするシステムである」(以上前掲「ジュリスト」No.1104)。ここには、今後安保理の改組が本格化し、いよいよ国際社会の中で日本の政治的動向が重要視され始める可能性を予感させる今の時期にあって、日本が国際社会の中でいかなる立場をとれば、国内外の多数の人々の支持を得、また、過去50年にわたり日本がつらぬいてきた立場との整合性を獲得できるかについての貴重なヒントが隠されているとはいえまいか。すなわち、国際の「平和」を維持するために、日本に求められている行動とは、決して軍事的貢献ではなく、国連のPKO活動を必要としているそれぞれの地域において、可能な限りの新しい平和的なアプローチを考えることなのではなかろうか。4.アジアへの配慮の視点についてその際、私たちが決して看過してはならないのが、アジアの人々が日本の国際貢献をどのようにみているのか、という視点である。1990年10月3日、「ドイツ統一の日」のためにワイツゼッカー大統領が6000語に及ぶ長い演説をしたことは広く知られている。この演説を通じて、ワイツゼッカー大統領は、先の大戦を通じて、あとに残されたドイツ人は「負の遺産」を受け継いだのだと述べたが、この演説は、今なおドイツを危険視する全ヨーロッパを明確に意識した上で、ドイツが新たなヨーロッパの平和秩序の構築に貢献するためには、まず、何よりもドイツがなした「過去の行為の清算」をしておこうとの意図から出たものであることは明らかであり、東西両ドイツの統一と言う世界史上劇的な事件を機にこの演説がなされたことには実に大きな意義があったといえよう。一方、わが日本がなした戦争行為については、まだみそぎが済んでいないと考える人々が、アジア地域には少なくない。もし将来、日本が国連の安保理改革の一環として常任理517