ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第14回最優秀賞いて、「安保理の能力を実効性を強化し、代表性を向上させ、運営効率を改善させるような方法で安保理を拡大すること、また、透明性を高めるなどその運営方法をも見直すことについては各国の意見の一致がある」と報告しており、国連内部での自己改革への努力がなされていることを示唆している。しかし、同青書によれば、「常任理事国の増大の可否、拒否権の扱いなど、改革案の主要論点についての各国の見解は必ずしも収斂していない」と述べており、最も主要な部分がいまだに未解決の状態にあることを示している。ベルトランのいう経済安保理構想とはほど遠い安保理の現状なのであり、この点の改革を国連は総力をあげて実行することが求められている。それでは、安保理の正常化のために、日本は何をなし得るであろうか。1992年12月以降、日本は、日本の常任理事国入りを含む安保理改革問題について、「安保理改革に関する作業部会」において、1グローバルな責任を担う能力と意思を担う能力と意思を有する限定された数の国を新たに常任理事国に加え安保理の機能を強化すること、2非常任理事国の議席数の適当な増加により安保理の代表性を改善すること、3議席の地理的配分の不平等を改善することなどの考え方を表明しており、(「外交青書」1997年版)、橋本総理大臣も9月24日、第51回国連総会の一般討論における演説の中で、日本国憲法が禁ずる武力の行使は行わないこと、並びに多数の国の要請があれば安保理常任理事国としての責任を果たす用意がある旨の発言をしており、政府はすでに安保理入りへと歩を進めつつある。その際、仮に安保理の常任理事国として日本が集団安全保障の一環として一定の決議をなすときに、国連憲章の第7章に基づく軍事的強制措置を各国が必要と考える場合、「日本は国連が武力制裁を行うことに同意するが、自衛隊を武力の行使に相当する部分については参加させることはできない」というような立場は現実にとりうるであろうか。仮に、典型的な平和破壊行為を想定し、常任理事国のすべてが武力による制裁を適当と考えるときに、現実問題としては、ひとり日本が「憲法第9条に基づき拒否権を発動する」という立場をとることはほとんど不可能なことは明白である。従って、先の橋本首相の言葉は、513