ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

ページ
50/912

このページは 佐藤栄作論文集9~16 の電子ブックに掲載されている50ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

佐藤栄作論文集9~16

「冷戦後の新時代における国連の理念と役割」佐藤良子要約米ソ二大超大国を中心とする、西側自由主義陣営と東側社会主義陣営の双極構造による冷戦下時代における国連の主要な役割は、全世界的規模での戦争の回避であった。これに対し東西冷戦終結後は、米ソによる軍事ブロック体制の崩壊により、民族紛争や地域紛争が各地で激化し始め、国連はこのような紛争にも対応できるような、安全保障理事会での大国主導の運営の見直しや、その制度自体の改革も含めた、新しい安全保障体制のあり方を考えねばならなくなってきている。安全保障理事会の常任理事国の入れ換えや増設、拒否権の撤廃、PKOの在り方などが検討されるべきであり、また国連カンボジア暫定行政機構のような地域紛争後の国家再建にも、積極的に取り組んで行かなければならないであろう。東西冷戦終結により、全世界的規模での戦争が当面回避されたという意味では、世界平和へ大きく前進したと言える。しかし一方では、国際的な経済交流の拡大に伴う諸国間の経済的相互依存関係の増大により、国際的な権力基盤は軍事力から経済力へと移行し、世界は今、軍事的戦争の時代から経済的戦争の時代へと向かっている。これに伴い先進国間ではEC統合構想にみられるような、軍事的ブロックに変わる経済的ブロック形成の動きが活発化し、地域的な保護主義や排他主義の傾向が強まるのではないかと懸念される。また南北問題と言われる北側先進国と南側発展途上国間の経済格差は一向に改善されず新たに天然資源という経済的権力基盤を持たない国々が第四世界を形成し始め、紛争の火48