ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

ページ
460/912

このページは 佐藤栄作論文集9~16 の電子ブックに掲載されている460ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

佐藤栄作論文集9~16

後者において低廉という言葉を用いたのは国際的な公共財提供機関としての国連の性格を温存し先進国と発展途上国との所得再分配システムを有効にしつつも、国連大学の経済的効率性を高めるべきであるという考えに基く。先進諸国の政府からのさらなる拠出を期待しても先進国自身、自国の利益がない場合拠出額を拡大するインセンティブが働くとは思えないからである。しかしながら利益を享受する途上国側も拠出は難しいであろう。ではどのような形で徴収するか。先進諸国からの開発途上国へのODA供出額のうちコンサルタント料相当を国連大学に支払い、国連大学はコンサルタントを派遣する。このような契約を被援助国と国連大学との間で締結し、一定期間その契約関係にもとづき派遣の実行がなされる。このようにすれば先進諸国側にとって新たな国際機関への贈与という財政支出は生ぜず、二国間贈与の中に位置づけられるわけであり、上記の問題を解決することになろう。もちろん一国のみを優先するものであってはならず、全体的に周辺諸国に対してもメリットのある案件に限る。また、コンサルタント派遣の実績があがらなければ契約の更新はなされない。この他に考えられることは企業内研究者との関係にまで拡大することである。先進諸国の大学が研究活動を行っていくのに財政的に充分であるかというとそうとはいえないという背景がある。学界に参加している技術系研究者が国連大学と所属企業との橋渡しとなるべく彼らにアプローチをかけることである。もちろん企業秘密があるであろうし、公的な機関であるという国連大学の中立性を損うものであってはならないが、その基準をクリアするのであれば企業との協力関係を樹立することにより財政支援をうけ、それにとどまらず研究活動の成果を共に享受する形にしてもよい。景気の後退にともない企業側のインセンティブが働かなくなる可能性もある上、百パーセントのボランティアを強要する形では将来的な協力が先細りする危険がある。技術の提供先からの見返りつきのものとしたプログラムをたてた方がより効果的であると考える。458