ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

では問題といえる。このように国連大学のシステムを支えるこの関係も問題を内包している。世界への公開性が問われているのではないか。(c)特に国内の企業(企業体全体であることも、企業の研究部門であることも)あまり関係のなさそうに見えて実は資金的に見て国連大学を大きく支えるのが企業体と国連大学との関わりである。例えば国連大学は大林組や島津などの後援を受けて会議を開催している。実際、キリンの資金提供によって会議のみでなく途上国から研究者を日本に受け入れるプロジェクト(キリンフェローシップ)も行なわれている。このように企業が関わることで問題であるのは、企業が資金供給源として無視できない存在になるにつれ、企業の意見ややり方が国連大学の在り方に影響を与えかねないということである。国連が中立をその基本に置くように国連大学もどんな営利、非営利を問わず何らかの団体に左右されてはならないはずである。企業体との協力や連携は非常に有用であるものの方法において、その中立性に絡んで注意をせねばならないだろう。(d)政府関係研究調査機関政府系研究機関との連携も緊密である。例えば南アフリカの「南ア科学産業研究審議会(CSIR)」傘下の国立研究所が国連大学の協力で「アパルトヘイト廃止後の南アフリカの輸出競争力」というプロジェクトを行なっている。また、中国においても国立研究機関が「中国におけるハイテク研究機関と関連企業の台頭」という研究を例えば中国の現地調査や対象企業に関するデータ類の点検、研究機関と企業の事例研究について協力を行なっている。このようにかなり細かな研究議題について、細かな協力がされているといえよう。ただし政府系の研究機関は「総合型」の国連研究組織である国連大学とではなく、他の「目的別」国連研究組織と連携するケースも多く見られる。これは例えば先にものべた国連女性の向上のための国際訓練研修所について言えるであろう。女性問題の統計を取るなどは国連大学では行なわれず、目的別研究組織である「国連女性の向上のための国際訓練研修所」に女性統計の情報が集中することになるのである。さてこのような関係に問題があるならば、それは各連携があまりにも複雑に広がってし440