ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第13回優秀賞現状の分析と問題点(1)「目的型」と「総合型」機関の分類国連大学と他の学術機関・学会との関係を分析していく前に、まずどのようなシステムが国連学術研究機関にあるのかを整理してから始めたいと思う。まず国連学術研究機関は、目的別・主題別によって作られた「目的型学術研究機関」と学術的・総合的研究を行なうため、または新規研究分野の開拓を目指した「総合型学術研究機関」のふたつに分類される。例えば先に示した国連女性の向上のための国際訓練研修所は前者の「目的型」機関になる。女性というディシプリンを担当するためにあるわけである。これに対して国連大学は「総合型」機関になる。国連大学はその憲章にもあるように「人類の存続、発展、および福祉にかかわる緊急かつ世界的問題の解決のために世界各国のすぐれた学者が協力して取り組む場を提供し、その成果を取りまとめること」を目的としている。つまり目的から考えても問題分野を特定するのではなく、解決すべき目標をかかげられて、その解決のために総合的な研究を行うことが目標にされている機関なのである。このように大きく分けてふたつの分類が可能になる。このように違ったスタンスの研究機関が並立していることは、やり方と目的が違えども時には同じ研究課題を研究することになり非効率的になることもある。加えて他の研究機関・学会との関係を考える上では、複雑化をもたらし分析を難しくしているといえよう。(2)他機関とのリンク・関係の現状と問題-国連大学の場合-(1)では他機関とのリンクについて複雑化が起きているということを述べたが、実際はどのような関係が形成されているのであろうか。具体的な他機関とのリンク、関係を考察することにしよう。我々はこの論文ですべてを扱いきれないので、上記で「総合型」とされた国連大学の他機関との関係を追うことにする。国連大学は本部を東京に置き、先に述べた目的をもち総合的で学際的な研究活動をしている。国連大学の年次報告によると90年から95年までの第2次中期展望は次の5つの領域に焦点を絞っているという。437