ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

を問題として抱えている国もあるということである。国連大学を国連加盟国の『大学の大学』として位置付け、各国の大学から派遣されてきた学生たちによって、現地の実地調査や現状の把握を継続的に行う。各国の財政事情はあろうが、現地の教育機関の協力なども得て、その国の将来のための先行投資の形で実現できれば良いと思う。7.学生により開かれた大学に国連大学の知名度があがらない一つの理由として、『学問』をつかさどる機関でありながら、世界各国の大学と直接的な結び付きが弱いという点が挙げられる。大学が主催している大学院生、大学生向けのプログラムとして、1985年以来毎年開かれているグローバル・セミナーがある。だが、協力大学はまだまだ少ないし、これによって学部学生、大学院生、学者、研究者との結び付きが特に強まったとの印象は薄い。前述した、資金の段階から国連大学との提携大学を増やし、世界各国の学者・研究者の交流(大学間の行き来)を活発にして、国連大学の活動そのものにも若い世代を積極的に参加させていくべきだ。そして、学者・研究者・学生の三者が集う意見交流の機会の場を多く作ること、各ジェネレーション間の橋渡し役も国連大学は担っているのである。第三章:国連大学の未来~世界の大学をめざして日本が生んだノーベル平和賞作家大江健三郎が、著書「日本の『私』からの手紙」で述べているメッセージの中で、忘れられない箇所がある。「いま若い人たちに示すべきなのは、国家目的とか大義とかいうことではなくて、個人それぞれの心のなかにある正義というものを、横につないでいく試みこそ必要だろうと私は思うのです。」5今、改めて私はこの言葉の重みを実感している。交通手段が整備され、国家間の行き来が100年前よりは、はるかに便利になった。通信衛星を使った情報のやりとりは、先進国でなら一般市民の間でさえもう珍しいことではない。しかし、社会はこれである錯覚に陥っていないか。知識として知ることが、そのまま頭で理解することになるとは思われない。一般に真の理解とは、知覚-認識-解釈-理解の4段階を得て、情報の受け手に伝わるものだと思う。現在は、4325「日本の『私』からの手紙」大江健三郎P.159