ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第12回佳作機能論に立つと、我々の関心はレジームを通した国家行動の制限に絞られる。日本の今後のアジア外交の姿勢もそのパワー構造の視点よりも、安全保障レジームの機能を高めるべく、いかに国家のパワーに志向する行動を制限するルールのセットを作り上げるかに基礎を据えるべきである。だが、機能重視で分析するならば、国家の代替としてレジームを考えることは禁物であり、またR.コヘインに従って、新旧レジームの機能的連繁を重視することに我々は注意しなければならない。では新レジームとしてARFを、旧レジームを日米安保体制と考えるならばその両者の機能にいかなる連繁が確認できるか。そのあたりに今後の日本外交の方向が見えてきそうである。第一に日米協調のそもそもの「規範」を日本は近隣(中国)諸国に明示すべきであり、第二に日米協調を基礎に北朝鮮のARF加盟を積極的に支援すべきである。第三には対中政策は日米安保の枠組みで続行するよりも、むしろARFからの積極関与に重点を置くべきである。さらに安保がグローバル化されるのであれば、それはよりARFにコミットしたものにならなければならず、それはパワー構造の結果ではなく、レジーム間の純粋な機能的次元での整合でなくてはならないはずである。387