ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「新たな世界秩序への対応-地域的国際機構との連携-」水野由香里要約世界の人口の約8割を占める発展途上国において、まず必要とされているのは教育・人材育成の浸透であろう。教育とは、有効な家族計画の実行、保健・衛生に関する知識、社会生活を円滑に過ごすための手段として欠かせない。しかし開発途上国において、教育が普及していない地域も依然存在するため、生活に対する無知から事故や犠牲者が後を絶たない。それも貧困ゆえに生じるのである。いかにしてこのような悪循環を断ち切るべきか。それは「自助努力」によらなければならない。つまり、自国の問題に対しては自己で解決を図るべきなのである。なぜならそれは我々にとっての常識が通用しない国も存在するからである。教育の普及は、貧困撲滅や紛争の発生原因を絶つことにも役立つ。こう考えてみると教育問題は単なる一国の問題に限らず、世界全体の利益であるといえる。この一例は、ミクロ的活動がマクロにまで影響を与えることを如実に示したものである。またミクロ的視点とマクロ的視点はしばしば対立するものでありながら実は同じ一つの概念でしかないことも理解できる。近年、国境を越えて相互に依存する社会において地域的国際機構の役割が重視されている。一方、国連は多様な国々の集まりであって、その意思決定には時間を要すなどの難点がある。そこで、国連と地理的要因の上からでも共通認識・利害が生じやすい地域的国際機構と連携を図ってはどうか。その他の国際機構もまた然りである。その上で、国連はそれらの機構を管理する役割を担うのである。これらのシステム確立の根源には相互の信頼関係が欠かせない。354