ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

解決を行うか、を選択せねばならない。紛争の当事者は当然に抜き差しならない事情の下で戦闘を行っているのであり、中途半端な実力行使による介入はかえって反感だけを招きかねない、従って、PKO活動と国連による実力行使とは厳密に切り離しておくべきだと思われる。平和維持(Peace-keeping)は原則として紛争当事者間の停戦合意が成立した後に行われる活動であり、憲章上に明確な根拠規定がないにも関わらず一定の実績を挙げてきている。国連の持つ中立性が十分に活用されている例であり、平和実施部隊の不調とは好対照をなす。この活動と国連常備軍とが車の両輪の様に完全に機能すれば、国連による理想的な安全保障が実現するものと思われる。人員の拠出はカナダや日本のように強力な軍隊の保持を好まない国家が率先して行う事で、現在は多国籍軍の派遣国と、将来的には憲章第43条に基づく特別協定による軍隊の拠出国とのバランスをとるべきであろう。AN AGENDA FOR DEVELOPMENTの検討冷戦の終了により、それまで東西両陣営の対立に隠れて目立たなかった南北の経済格差の問題が表面化した。そのため、南の諸国の開発をいかに進めるかは間違いなく来世紀における主要な国際問題の一つとなると思われる。なお、この問題の早期の解決は、国際法における実質的な主権平等原則の確保という観点からも要請されている。「開発への課題」(1995)では、国際的な開発援助の背景と必要性、概念構成、そして実際の行動要綱がまとめられている。例えば、絶対的貧困の撲滅や識字率の上昇は基本的人権や民主主義システムの国際的な普遍化のために不可欠な条件であり、国際社会全体の利益につながる事等が指摘されている。また、経済的社会的な開発を促進する事はとりもなおさず、平和と安全の維持の基盤を建設することにつながり、両者は相互依存の関係にある点が強調されている。来世紀に向けての国連の活性化においては、安全保障分野と同様の重要な分野として意識されねばならず、経済社会理事会の強化等が望まれる。実定国際法上の南北格差是正措置の制定を検討する際には、70年代のNIEO(新国際経済秩序)の失敗が意識されねばならない。先に総論で述べた様に、国際法における相互350