ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第12回最優秀賞接する全ての国家間で国境線確認条約を締結し、その条約を国連(国際司法裁判所)に登記するというようなことが考えられる。勿論、その時点では幾つもの国境線が当事国間の合意に至らず、そのまま同裁判所において係争に付されることが予想される。それらの係争並びに後日発生した国境に関する争訟(独立、統合等)は、全て同裁判所の国境確認裁判の裁決を得なければ効力を発生しないというルールを確立し、一方的な宣言は決して正当なものとは認められないという国際ルールを徹底していかねばならない。これは、従来の国家主権に対して制約を加え国連の存在の下位に置くことを意味するが、国際社会のルールや規範を整備し「法の支配」を世界システムの基盤とすることは、各国産業の軍民転換を可能にし、経済的効率の向上、社会的連帯の強化、政治的な安定を図っていくうえでも効果的であり、国家本来の存在目的たる自国民の福利につながるものとの冷静な判断から加盟各国において受け入れられるべきである。如何なる国家も、優越への意欲・競争意識は所定のルールのもとで、各々の目指す分野を中心に爽やかなゲームとして発揮されるべきであり、ルールの基盤たる連帯を破壊してしまう愚挙は二度と繰り返してはならないと思う次第である。(6)各国の軍縮と国連の強制執行力の強化国連による紛争処理能力を高め、平和的手段により解決する機能を万全のものとしていくためには、上述のルールや規範、手続き等の制度面での整備と合わせ、裁決の権威を裏付ける強制執行力、軍事的な実現力を伴うことも必要となる。国際社会の公正と秩序維持の観点からみると、それは単に憲章第7章に規定するように加盟各国の軍事力を背景とし、その指揮権のみを預かる方式では、結局、大国主導の運営から脱しえない。国連の信頼性回復のためにも、国連自らの裁決の強制的実現能力の保持そのものが望まれるところである。そして、その力を国連が保持するために、各国の軍縮と軍備・兵器の国連管理下への移管・集約が求められる。それは極めて重要且つ困難なステップとなるが、大国による力の支配という歴史上の失341