ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

保しえないという意見も完全に否定できるものではない。しかし、それ故に人類全体に影響の及ぶ問題の処理を、安全保障理事国の判断に全て委ねるべきという結論にはどうしても疑念が残るのである。少なくとも、国連発足当初の50ヵ国足らずの加盟国の中における15理事国による決定と、現在の185ヵ国の中での15ヵ国による判断では、自ずから持つ意味が異なってしまった面もあろう。差し当たって当面の対策として安全保障理事国の数を増加させるべきだという議論も、こうした認識に立つ改善策であるものと理解される。この方向に沿って論旨を展開していくと、国際社会の民意を正しく反映した行動をとるためには「特定国による寡頭政治」を脱し、「地球サイズの民主政治」の確立が必要であり、そのプロセスを経た決定には何れの加盟国も国際社会の意思として従わざるをえないということにならねばならない。そういう観点からすると、安全保障理事会による対応・措置は、総会によって予め承認された一般原則に沿った範囲内のものであるか、或いは緊急・突発的な対応に関しても、事後可及的速やかに総会への報告承認を得てオーソライズされることを必須要件化するべきであると思われる。(5)国連による調整能力の強化国際社会における利害関係の衝突に対して如何なる場合においても、平和的手段による解決が追求されるべきであるし、そうした解決手段の担い手としては、まず国際司法裁判所の権限強化が想定される。更には、環境・資源、人口、人権などの各分野毎に専門の機関(例えば○○高等弁務官事務所)を設け、実効力の伴うルールつくりなどを並行して検討していくことも必要であろう。安全保障の手段としても、司法的解決を実現しうるシステム機構が重要であり、それを可能にする条件は、国際社会及び加盟各国が如何なる場合においても武力による国境線の変更は認めないという原則を確立することである。そのための条件整備の一つとして、或る基準年(例えば西暦2001年)までに、国境を340