ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第12回最優秀賞だが、現在一挙にそのような仕組みに転換したとすれば、各国の民主制や人権等への人類普遍の価値観へのコンセンサスが十分形成されておらず、国際的連帯感の醸成が未だに不十分な現状や、既得権益の得喪との関係で大混乱は必至である。次善の策としては、過渡的に国連総会を二院制にする試みは如何であろうか。その一方の院は現行制度の総会と同様のものとして各国一票制の運営を継承する。他方の院は、負担金の出資比率に応じた株式会社の株主総会のようなシステムにより構成・運営することとし、前節で述べた多国籍企業の代表の参加も認めるとともに、次節の安全保障理事会の機能見直しにより削減された大国の権限の当面の受け皿にも位置づけることが妥当と思われる。(将来的には、各国の一人当たりGDPの水準が平準化に向かい得た場合、この第二院の議席配分は人口比に近づくこととなる)(4)安全保障理事会の機能見直し現在の国連の運営は、発足の経緯から当然の面があるとは言え、安全保障理事会に権限が集中しすぎており、結局5大国(そして、なかんづく米国)主導に陥っているのではないかという疑問は、よく指摘されるところである。それは、安保理が総会との相対な力関係においても強力すぎるところが問題なのであろう。安全保障理事会の改革を論じることは、それが常任理事国(5大国)の既得権縮小を伴うものである限り、この5大国サイドからの反発・拒否権発動を惹起することは自明であり非現実的であるという議論もある。しかし、だからと言ってこれをタブー化してしまうと、そこで思考回路のネックができてしまい、永遠に在るべき姿を模索する事が不可能となる。そこで、以下は理想論に跨がることを承知で試案を展開してみたい。先ず、着手されるべきは、憲章第12条に定める総会と安全保障理事会の関係を見直すことである。安全保障理事会は、その権限の基礎を総会に置くべきであり、特権的な地位(拒否権も含めて)を廃止して、総会の決定した方針の執行機関として位置づけられることが必要である。総会での方針決定を待っていると、対応が遅くなってしまい、迅速且つ有効な行動を確339